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きもの豆知識№11 「足袋(たび)のお話し」

今日では足袋は防寒という実用目的だけでなく、儀礼的意味も多分に

もっています。礼装に際して、誰しも足袋を履く習慣となっているは、

その表れです。この儀容と実用という相反する足袋の性格は、足袋が

二つの系統から発達してきたことを物語っています。

第一の系統は、奈良時代に制定された礼服(らいふく)や朝服(ちょうふく)

一具の中に含まれてきた襪(しとうず)です。襪(しとうず)は指先の分かれて

いない靴下式で、礼服には錦(にしき)、朝服には白絹(しろぎぬ)が生地と

されていました。この朝服の襪はその後束帯に受け継がれ、白絹の襪は

儀客を整えるための必需品であり、貴人の用いるものとされてきたのです。

これに対して第二の系統は、専ら足の保護や保温を目的として革製の単皮

(たひ)から出発したもので、室内より室外で履くものとして武家や庶民の

間で用いられました。